視覚障害者を理解するために

点字ブロック

歩道に敷かれた点字ブロック 点字ブロックは1965年三宅精一さんによって考案されました。
 点字ブロックには、危険個所と位置を表示する点状ブロックと、誘導用の線状ブロックがあります。駅のホームではよく見かけますね。
 平成13年に日本工業規格で視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列が制定されました。点字ブロックの色、敷設様式については、まだ明文化されていないため、周りの煉瓦や滑り止めの敷設で区別しにくかったり、町並み景観上弱視の人にわかりにくいものもあります。
 点字ブロックの上を歩くこともありますが、一般には白杖で探りながら歩きます。点字ブロックの上に、自転車や物を置かないよう注意してください。反面、車椅子や乳母車・台車などには、無いほうがありがたいと言えます。

白杖(はくじょう)

 白杖は安全性の確保・情報の入手のほかシンボルとして、視覚障害であることを周りの人に知らせ、注意を喚起させます。
 白杖はアルミ合金やグラスファイバー製のものが多く使われ、直杖・折り畳み杖とあります。地面からの長さが、みぞおちから脇の下に入るくらいが適当とされています。

点字

 点字は1825年フランスのルイ・ブライユによって考案され、日本では1890年石川倉次氏によって日本語の点字表記が作られました。
 全国で視覚障害者約305,000人のうち点字を使えるのは約28,000人といわれています。(平成8年)
 高齢の中途失明者にとって点字の習得は難しいものがあります。
 点字は、サイコロの6の目のような、縦3点・横2点を組み合わせて作る表音文字です。 たった6個の点の組み合わせですが、日本語は勿論、世界中の言葉や、数字・楽譜・コンピューター記号など、あらゆる文字を書き表す事が出来ます。 また、1926年には衆議院選挙法施行令が公布され、点字による投票が認められました。
 最近では、駅の自動券売機や自動販売機、エレベーターなどでも見ることができます。

盲導犬

 盲導犬は平成15年3月時点で全国に927頭。ちなみにイギリスでは4000頭、アメリカでは10000頭。
 盲導犬がいればどこでも行くことができると言いますが、盲導犬はどこそこへ行くと言えば、そこへ連れて行ってくれるわけではありません。
 連れている視覚障害者が行き先までの道順を知っていて、「右へ曲がれ」とか「階段」などと、盲導犬に指示をしているのです。
 盲導犬はペットではありません。ハーネスを装着している間は、視覚障害者を安全に導くためのお仕事をしています。かわいいからといって、なでたり餌をあげたりしないでください。

盲導犬Q&A

盲導犬は吠えたり噛みついたりして、他のお客様に迷惑ではありませんか?

盲導犬は、決して吠えたり噛みついたりしないよう訓練されています。命令すれば、何時間でもじっとおとなしくしています。

食べ物に毛が入ったり、不潔ではありませんか?

毎日ブラッシングしたり、身体を清潔に保つことには、とても神経を使っています。服を着せることもあります。

食べ物が目の前にあると欲しがりませんか?

決まった時間に、決まったものを、決まった量だけしか口にしません。

犬を触っても良いですか?

ハーネスをつけているときは、仕事中ですから触らないでください。

盲導犬が目的地へ連れて行ってくれるのですか?

盲導犬は、安全確保をしてくれますが、道順を覚えているわけではありません。

盲導犬が信号を判断するのですか?

使用者が、音響信号または車の流れを判断して、盲導犬に命令を出して渡ります。

盲導犬と生活する前と、持ってからとでは変わりましたか?

外に出る機会が多くなりました。考えも広くなってきたと思います。盲導犬と生活するようになって、身体が丈夫になってきました。

盲導犬と一緒に寝るのですか?

同じ部屋に寝床を作って、そこに寝ています。

盲人用音声信号機

 視覚障害者が交差点を渡るとき、信号は見えません。そこで、一部の信号機には音響装置が付けられ、それぞれ音声で知らせるようになっています。
 昭和48年ごろから全国に普及し始め、メロディー式と鳴き声式の2タイプがあります。メロディー式には、とおりゃんせ、お馬の親子、夕焼け小焼けなどがあり、鳴き声式はカッコー、ピヨピヨが代表的です。ただ、近隣の住民への配慮から、夜間は音声を停止する信号機がほとんどです。
 下のプレーヤーで、岡崎市の盲人用信号機の音が流れます。最初は、南北用の「カッコー」が、次に東西用の「ピヨピヨ」が流れます。地域によっては南北用に「ピヨピヨ」、東西用に「カッコー」と鳴ったりして、全国で統一されていません。

電車ガード

阪急電車の車両 連結部にガードのついた電車をご存知ですか?
 視覚障害者が外出するとき、いろいろな困難に出会います。特に単独歩行者にとって、駅のホームは一番危険な場所です。私たちは、常々それについての対策を訴えつづけてきました。
 写真は、車両と車両の連結部にガードがついている阪急電車です。
 ホームで電車を待っているとき、もしも、電車の停止位置がずれて車両と車両の連結部が前に来たとき、そこに乗り込もうとすれば大変なことになります。しかし、このガードが白杖にさわれば、乗車口だと勘違いすることはなくなります。
 また、ホームからの転落を防止するために柵や壁でホームと線路を仕切り、電車のドアに連動して開閉するホームドアという設備もあります。こちらならば、転落事故は無くなりますね。

一緒に歩くときは…。

 一般的には、誘導者は視覚障害者に自分の肘や肩に手を掛けてもらい半歩前を歩きます。
 段差や障害物があるとき、狭い場所を通るときは、その状況を具体的に説明してから進みます。
 車道と歩道の段差や建物の出入り口の段差などでは、その手前で止まり「ここに段差があります。何センチくらい上がります」のように声を掛けます。段差や階段は上るのか下るのかを知らせることが肝心です。
 歩道に自転車が停めてあり狭くなっているときは「右側に自転車があって道が狭くなっています。少し左に寄ります。」などと声を掛けます。
 手引き(ガイド)ボランティアは、視覚障害者が安全に歩行できるよう周囲の状況に気を配って誘導することを心掛けています。
 手引きの一番大切なことは、必ず相手に聞いてから行うことです。すべて主体は利用者ですから、手引き(ガイド)ボランティアは自分のやり方を押しつけずに、お互いに話し合い行うことが基本です。

スポーツ

サウンドテーブルテニスの練習風景 健康増進のためのスポーツから競技会まで、陸上種目や水泳、スキー、柔道、サッカーなど様々なスポーツがおこなわれています。
 写真は、全国障害者スポーツ大会の競技種目でもあるサウンドテーブルテニスの練習風景です。サウンドテーブルテニスは、小さな鉄球を入れ音が鳴るようにしたボールをラバー(ゴム)を貼っていないラケットで打ち合います。一般の卓球と大きく違うのは、ネットと台の隙間(42mm)にボール(直径40mm)を通すことです。また、台の端を囲うようにフレームがついています。打ったボールがフレームに当たり台上かフレームに落ちればポイントになります。
 音だけを頼りにしてボールのコースを読み、打ち返すのは多くの練習が欠かせません。機会があれば一度体験させてもらえると楽しさも難しさもわかるでしょう。